【日本/SS】 SEGA SATURN (1994年11月22日発売) ≪セガ≫

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セガ初の32BitCPU搭載マシンの『セガサターン』である。
国内で一番普及したセガハードであり、同時にセガの経営を傾かせる契機を与えたいわくつきのハードである。
ソフト供給には、カートリッジROMからCD-ROMに完全移行。
倍速CDドライブを搭載。更に、贅沢すぎるメモリ環境がCD-ROMへのアクセス時間を軽減し
ロード時間の短縮を実現している。
メガドライブとはまったく違う新規のアーキテクチャで、32BitCPUの『SH2』を2個搭載していることを筆頭に、
30万ポリゴン/秒の表示可能な高性能ポリゴン描写機能と、当時の最高水準といえる超強力な2D描写機能を
併せ持ったかなりハイスペックのマシンであった。
このスペックの高さから、アーケードゲーム機とコンシューマゲーム機の間の垣根が低くなり、
『アーケードからの完全移植』がこの時代のキーワードにもなる。
またマルチメディア機能として、オプション機器を装備することにより、ビデオCD、フォトCD、電子ブックCDの
再生が可能。モデムを装備することにより、パソコン通信やインターネットの利用も可能であった。

セガサターンは、歴代セガハードでも類を見ない豊富なソフトコンテンツに恵まれていたのもあって、
発売後約2年間は爆発的に普及。その間はSCEの「プレイステーション」をも越える販売実績を残している。
特にSATURN本体と同時発売だった「バーチャファイター」とミリオンを達成した「バーチャファイター2」の
存在は強烈だった。
しかし、そんな飛ぶ鳥も落とす勢いのセガサターンも、FFとDQのプラットフォームがPSに決定すると
一気に失速を始め、結果的には販売台数を大逆転されることになる。

明暗を分けたのは、国民的な人気を誇るFFとDQプレイステーションに奪われたところにあるのだが、
当時のスクエアやエニックスプレイステーションを選んだのは必然なのかもしれない。

マシンのトータルスペックこそセガサターンは、プレイステーションよりも優れていたのではあるが、
ポリゴンの表示能力、動画再生能力といったゲームにおいて一番目立つビジュアル/演出に関わる部分において
プレイステーションよりも劣っていたのだ。(セガサターンには半透明処理も備わっていなかった)
スクエアはこの点に注目していたのであろう。

また非常に高スペックなマシンであっても開発の難しいハードは開発者から敬遠される。
セガサターンのマシンパワーの中枢である二つの32BitCPU『SH2』は開発者にとって非常に扱いづらいものであった。
『SH2』自体がどうのという問題ではなく、ツインCPUというセガサターンの目玉的な構造にこそ問題があった。
使いこなせれば非常に高い能力を発揮するシステム構造だが、確実に開発者のハードルを上げてしまっている。
そもそも、セガサターンは当初よりツインCPUを想定して設計されたハードではない。
セガサターン開発終盤、ライバル機であるプレイステーションの能力がセガサターンを上回る処理能力であることを知り、
慌ててメインCPUをもう一つ載せた付け焼刃的なものなのだ。
また、贅沢なメモリーチップ郡も開発のハードルを上げる手助けをしている。
構造の複雑さは、開発難度を上げるだけではなく、
後々の回路集積によるコストダウンも難しいものにしてしまった。
コストダウンの図れないセガサターンは売れれば売れるほど赤字が膨らむという皮肉な図式が
できあがってしまっていたのだ。

また、ハードメーカーであるセガと、ソフトライセンシー会社との関係にも注目したい。
メガドライブ時代から関係のある会社との友好関係を意地しつつも、
更なる新しいソフトライセンシー会社の獲得に躍起、それはそれでかなりの成果を揚げている。
時は折りしも「任天堂離れ」の流れがソフト開発会社にあり、それが功を奏したのだろう。
しかし、セガのソフトラインセンシー獲得計画が完璧だったかというとそうではない。
セガはアーケード業界では最大手のメーカーであり、
アーケードの世界では『家庭用ゲーム業界の任天堂』を彷彿させる横暴な商売を行っていた。
その為、アーケードを手がけるソフトメーカーからは敬遠される事も少なくなかったのだ。
ソフトライセンシー契約を結びながらも一度もセガサターンへソフト供給しなかったナムコがその代表だろう。

以上の点から、天下に最も近かったセガハード『セガサターン』は、
プレイステーション』に負けるべくして負けたハードであったと言わざるを得ない。



【マシン名】
 SEGA SATURN(HST-3200) (1994年11月22日発売)
【価格】
 \44,800
【メーカー】
 セガ
【CPU】
MAIN:SH2(28.6MHz、25MIPS)×2
SOUND:68EC000(11.3MHz)
【MEMORY】
 ワークRAM:16Mビット
 ビデオRAM:12Mビット
 サウンドRAM:4Mビット
 CDバッファRAM:4Mビット
 IPL ROM:4Mビット
 バックアップRAM:256Kビット
【GRAPHIC】
 解像度 320×224ドット他
 同時発色数 1677万色
 パレット発色 2048/1024色
 スプライト 拡大縮小、回転、変形スプライト
 
 スクロール 最大5面
  XYスクロール面 4面
  回転スクロール面 2面
 拡大縮小面 2面
 ウィンドウ面 2面
 横ラインスクロール
 縦セルスクロール
 拡大縮小
 
 ポリゴン 専用ハードウェア搭載
  ワイヤーフレーム
  フラットシェーディング
  グローシェーディング
【SOUND】
 PCM音源又はFM音源 32CH(量子化数16ビット、サンプリング周波数 MAX44.1kHz)
 オーディオDSP搭載
【ETC】
 CDドライブ インテリジェント倍速CDドライブ
 カートリッジスロット×1
 拡張端子
【入手容易度】(易/やや難/難/かなり難/極めて難)
 ≪易≫
 かなり普及した本体なので苦労することなく入手できよう。
 SEGA SATURNの型番の多さは有名(?)だが、マニアなら最初期モデルの
 HST-3200(起動プログラムVer1.00)の本体は入手をしておきたい。
 型番に関係なく新品はそれなり値段が張る。