【MD/日本】 パルスマン & サントラCD (1994年7月22日~) ≪-≫

イメージ 1

1994年にセガメガドライブで発売した横スクロールアクションゲーム「パルスマン」。
開発は、クインティポケットモンスターで有名なゲームフリーク
近年、Wiiバーチャルコンソールでも配信している。


パルスマン」を開発するにあたり、当初から「テクノ」や「ハウス」といった音楽から
かなりのインスパイアを受けて着手したらしい。
なので、メガドライブのカートリッジROMというかなり制限のあるなかでも
一生懸命、テクノミュージックをゲーム中で再現している。


イメージ 2
■■『エレクトレース パルスマン』 STEREOTYPE■■
STEREOTYPEは、砂原良徳(ex電気グルーヴ)と佐藤大のユニット。
一応、一般的にはパルスマンのサントラCDと認識されているものだが、
正確にはイメージアルバムといった方が正しく、ゲーム中の楽曲がそのまま収録されたものではない。
収録されている楽曲自体はゲームの開発途中で既に完成していたようだ。
サウンド的には、、ゲーム中の楽曲をリミックスした体(てい)だが、
ゲーム中の曲をサンプリングしたオリジナル曲的色合いが強い。
今聴くと、至って普通のテクノハウスサウンドなのだが、
テクノ系CDを入手するに非常に困難な状況だった当時の日本のテクノシーンから考えると有りがたい代物だった。
ソニーレーベルがテクノ系のアーチストを強く推すようになって、入手し易くなってきた時期ではある。


イメージ 3
■■『PULSEMAN』■■
パルスマンのコンピレーションアルバム。国内外の有名テクノアーチストが大集合な超豪華盤。
日本のテクノ系老舗名門レーベル(今は亡き)「フロッグマン」から発売された。(佐藤大KEN=GO→により設立)
この作品はフロッグマンとしても初のコンピレーション"CD"アルバムである。
フロッグマンがリリースした作品としても2作目。
・NINJAHEAD-Pulseman VS Sineman
・LAST FRONT (Fumiya Tanaka)-Galaxy Gang
・TRANSMISSION 09-C-Life
・RESISTANCE D-Beatrice
・BLACK DOG-Yama
・STEREOTYPE-Faq
・G.T.O.-Pulse 1
・MIND DESIGN-Abusolute Science
・C.T. SCAN-Macro Scope (Last Stage Mix)
有り得ないぐらい豪華なメンツである。まさに目を疑う。
サウンド的には、ゲーム中のサウンドをサンプリングしたオリジナル曲か、
パルスマンをイメージして作曲されたオリジナル曲を収録。
豪華な収録アーチストの中でも断トツで存在感のあるBLACK DOGはこの企画の為に2曲作曲するも、
収録されなかった方の1曲は永遠にボツになったようだ。。(もったいない。。。)

また、古くからのテクノ聴きの人間なら、このCDジャケットを見て
歴史的名コンピ盤「Artificial Intelligence」シリーズみたいなデザインだと気づくはず。
それ、大正解。
名門WARPレーベルなどのCDジャケットなどを手がけていて有名なデザイナーPhil Wolstenholmeが
ジャケットデザインを担当している。
Cabaret Voltaire808 State、The Shamen、The Orb、日本では・・電気グルーヴのテクノ専門学校の
ジャケットデザインを担当。

実はスケジュールなどの関係上参加できなかったアーチストも多々いるようで、
Richie HawtinOrbitalLaurent GarnierMijk Van Dijkなどの想像を絶する鼻血ブーな名が挙がっていた。
・・これ、もっと発売日延ばすか、Vol.2でも企画すれば凄いことになっていたじゃん。。


ちなみに、企画の話を聞くのが遅くて参加できなかったMijk Van Dijkは、
よほど悔しかったのか、後に勝手にパルスマンのイメージ曲を作成し、シングルで発売している。
イメージ 4
Mijk Van Dijkの別名義Magic Marble Boxの「tokyo trax」
パッケージに日本語書いてあるがドイツ盤。
同人誌からパクッた「メタルファイターMIKU」がジャケットに採用されている。
このEPシングルの1曲目「Gamers Night」でパルスマンの曲をサンプリングしている。
士郎正宗に捧げられた割にはガンダムがサンプリングされている2曲目「MECHA TECH」。
なんかとてもせつない曲名の3曲目「LITTLE LONELY OTAKU」。
山手線の発車メロディを取り入れた4曲目「TOKYO UNDERGROUND」と濃いぃ曲ばかり収録。

イメージ 5

先述の「tokyo trax」のリミックス盤「tokyo trax remikes」。
「Gamers Night」を、Quazar、石野卓球田中フミヤがリミックス。
もはや、パルスマンとか関係なくなってしまっている。
Quazarのリミックスが今聴いても感動するくらいカッコイイ!



・・・と、ここまで、ツラツラと記事を書いてきたが、
テクノを知らない人にはなんのこっちゃな内容だとは思う。
パルスマン」というゲーム自体は、内容的にも優れている部分が多々あるにも関わらず、
サターン発売間近な時期の発売だった事やプラットフォームがマイナーなメガドライブだった事もあり、
お世辞でも売れたというわけではなかったし、一般的な知名度もまったく無いに等しい。
・・にも関わらず、これだけの一級品のアーチストが関わってきた要因は・・開発に携わった佐藤大の影響だろう。
ゲームフリーク』『ステレオタイプ』『フロッグマンレコード』
佐藤大がこのゲームで図ったのは『ゲームと音楽の文化的融合』だと思われる。
これは有名アーチストのタイアップ企画でもなく、開発者の自己陶酔型企画でもない。
プロモーション的価値が皆無であるにも関わらず、この企画に多くの様々な人間が前向きに携わったのがその証明だ。
セガハードにおいて「ゲームと音楽の文化的融合」に成功したのは、
この「パルスマン」とドリームキャストの「REZ」だけだと思う。("融合"の性質は異なるが)
・・・他社ハードのソフトについては知らない。
ただ少なくとも「ワイプアウト」はタイアップ色があまりに強くて、
文化的という意味で融合しているとは感じられない。(サターン版のアレな移植ぶりも含めてww)


※勘違いされない為に蛇足。
なんだか、テクノやハウスの話ばっかりだが、それはゲームとの相性がかなり良いだけの話で、
それ以外のジャンルでも文化的融合もやろうと思えばできるとは思う。
事実、アーケードの『TOP SKATER』がEpitaphレーベルとコラボすると聞いた時は、なにか可能性を感じずにはいられなかった。
・・・結局、これは尻ツボミで終わったのだが。。


【入手容易度】(易/やや難/難/かなり難/極めて難)
 ≪やや難-難≫
【プレミア度】(極安/安/普通/高/極高)
 ≪安-普通≫