【日本/DC】 DREAMCAST HKT-3000 (1998年11月27日発売) ≪セガ≫

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セガの事実上最後のコンシューマハードとなるドリームキャスト
セガの財政事情を常識的に知っている勘の良いセガファンなら、このドリームキャストが発表された時に、
この新ハードが失敗した時には、セガがハード事業撤退するか最悪は会社倒産を予見していたはずだ。
まさにセガの命運を賭けたハードであった。
よって、セガハードの集大成的なハードであると同時に、セガハードらしからぬ点も散見するハードでもある。
128Bitのグラフィックスエンジンを内蔵したカスタマイズ版の32BitCPU SH-4(64Bit-BUS CPU)を搭載している。
これを、128Bitマシンの様に宣伝していたわけなのだが、非常にセガらしい広告戦略だ。
グラフィック関連のスペックだが、セガサターンの「最強2Dマシン」の能力を継承しつつ、
そのセガサターンで長年指摘され続けたポリゴン処理能力の弱さをここぞとばかりに強化。
描画性能及びCG処理機能においても、当時としては「これ以上にない」能力を備えている。
ソフトの供給媒体には、一時期「DVD供給か」という噂も流れたが、独自フォーマットのGD-ROMを採用。
GD-ROMはほぼ1GBの大容量ディスク。内周部に約35Mb、外周部に約984Mbの容量を持つ。
また通信に拘りを持ち続けたセガらしく、着脱式のモデムを標準装備したのも特徴だ。
これだけのスペックを誇りながら、非常にコストパフォーマンスも高く世間を驚かせた。


アーキテクチャの良し悪しは、発売時のマシンスペックとコストパフォーマンス、
それに汎用性、ソフト開発の容易性から測るものである。
好き嫌いは別として、ドリームキャストアーキテクチャは、故障率が高い点においてMEGA DRIVEより
劣っているかもしれないが、セガハードの中でもかなり秀逸なものだったといえる。


従来機を遥かに凌ぐハイスペックと低い価格設定、そして世間の話題になる宣伝戦略が
功を奏して発売当初、爆発的にハードが普及した。
発売後半年間は生産/出荷が追いつかず、セガ謝罪広告を打たなければならないほどだったのだ。
1999年には19,900円に値下げを行い、更なる普及を貪欲に目指している。
しかし、その勢いも1999年末まで。
2000年以降は良質なソフトの発表が続いたにも関わらず市場の勢いが急激に鈍化していった。
その裏には、SCEの「PLAY STATION2」の発売が強く影響している。
この年、セガは、ドリームキャストを陣頭指揮してきた入交昭一郎社長が退陣、
親会社のCSK会長だった大川氏を新社長に迎え入れ、
セガ エンタープライゼス」から「セガ」への社名変更を行っている。
セガの焦り、仕切り直しの風潮が見て取れる。

しかし、その悪い流れは断ち切れず2001年初頭、
セガは「ドリームキャストの生産中止」と「ハード事業の撤退」を発表。
この発表に一部のセガファンは紛糾。しかしファンの概ねは「来るべき時が来たか」と静かに肩を落とした。
この時、発表をした佐藤秀樹副社長は、SC-3000からドリームキャストまで全歴代セガハードの開発に携わってきた
まさに「セガハードの父」とも呼べる人物だ。その心中は誰にも推し量れまい。

「ハード事業の撤退」の発表から2ヵ月後、大川社長逝去。それに伴い佐藤秀樹氏が社長に就任。
在庫分のドリームキャストを9,900円に値下げし、国内在庫分200万台、海外在庫2万台を9月までに全て出荷。
以後、セガは「世界のコンテンツプロバイダー」を目指すこととなる。
※尚、佐藤秀樹社長は2004年に退陣、サミーとの経営統合を契機に小口久雄氏が社長に就任している。

次回の記事では、更に細かくドリームキャストについて考察する。



【マシン名】
 DREAMCAST HKT-3000 (1998年11月27日発売)
【価格】
 \29,800
【メーカー】
 セガ
【CPU】
MAIN:SH4-128bitグラフィックスエンジン内蔵RISC CPU(200MHz、350MIPS/1.4GFLOPS)
SOUND:スーパーインテリジェントサウンドプロフェッサ-32bit RISC CPU
【MEMORY】
 メインRAM:16Mビット
 テクスチャRAM:8Mビット
 サウンドRAM:2MB
【GRAPHIC】
 Power VR2 DC搭載(CG描画性能300万ポリゴン/秒以上) 最大同時発色数 約1677万色
 スクロール 最大5面
  XYスクロール面 4面
  回転スクロール面 2面
 拡大縮小面 2面
 ウィンドウ面 2面
 横ラインスクロール
 縦セルスクロール
 拡大縮小
 CG処理機能
  バンプマッピング(凹凸の生成)
  フォグ(霧効果)
  アルファブレンディング(半透明効果)
  ミップマッピング(ポリゴンとの距離に合わせたテクスチャの自動切替)
  トライ リニア フィルタリング(バイ リニア フィルタリングの並行処理結果を
                 加重平均しテクスチャとして使用する機能)
  アンチ エイリアシング
  環境マッピング(周囲の環境が映ったテクスチャをオブジェクトに貼り込む機能)
  反射光エフェクト(オブジェクトに光沢効果を与える)
【SOUND】
 64CH PCM/ADPCM
【ETC】
 最高12倍速GD-ROMドライブ(角度一定方向)
 33.6kbpsモデム標準装備(リムーバブル方式)
 OS:Microsoft Windows CEカスタムバージョン
 コントロール端子×4
【入手容易度】(易/やや難/難/かなり難/極めて難)
 ≪易≫
 それなりに普及した本体なので苦労することなく入手できよう。
 初期のモデルはMIL-CDに対応しているが、後期モデルではMIL-CD非対応。
 MIL-CD対応モデルの方が高値で取引されている。
 新品はそれなりに値段が張る。
 ※PSE法適用商品