【日本/DC】 DREAMCAST トライアルセット (サービス期間1999年9月22日~11月30日) ≪セガ≫

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セガが、TSUTAYA等を運営しているカルチャーコンビニエンスクラブの協力のもと、
ドリームキャスト本体を無料でレンタルすることができるキャンペーンを実施した。
その際の使われたレンタル用のモデルが今回紹介する「ドリームキャストトライアルセット」だ。
全国のGame TSUTAYA、Game STANDで実施された。
この「ドリームキャスト無料体験キャンペーン」は、9月22日~11月30日までの期間限定のものであったが、
キャンペーン実施店舗の会員であれば、誰でも7泊8日でレンタルすることができた。
この無料体験版のキットには、ドリームキャスト本体、コントローラパッド、そして電源/AVケーブル一式で
構成されており、それらが豪華なトランクケースに収納されている。
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時期折々の体験版ソフトも付属されていた。
ちなみに、このレンタル用ドリームキャスト本体にはモデムが装備されていない。(モデムのダミーが装備されている)
その為、インターネット・Eメール・ネットワークゲーム等の利用はできないようになっている。
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以下、前回の記事より引き続きドリームキャストについてキーワード単位に考察をする。

ドリームキャストのマーケット戦略の成功と失敗】
「ライトユーザの獲得」。それがセガドリームキャストのマーケット戦略であった。
その徹底ぶりは過去に例を見ないものである。
その代表例は、当時セガの専務だった湯川英一氏を前に押し出しての「自虐CM」シリーズである。
セガなんてだっせーよな。プレステのほうが面白いよな」
この逆比較CMともいえるフレーズは、日本中に強烈なインパクトを与えた。
セガサターンの時も「セガールとアンソニー」の比較CMで衝撃的なものだったがその比ではないだろう。
セガサターンの時代では「次世代機戦争」などとマスコミで積極的に煽り立てていたのもあって、
宣伝しなくとも世間での認知度は高く、胡坐をかいていられたのだが、
ドリームキャスト発売時期にはそういった「追い風」はほとんどなかったといってよい。
そんななか、ドリームキャストが好調に発進できたのはこのCMの影響が大きい。
このシリーズ後も、滝沢秀明をCMに起用するなど煌びやかな宣伝戦略を果敢に攻めていった。
この時の宣伝プロデューサーである秋元康氏は、後にセガ社外取締役に就任しているが、
「後藤善男キャンペーン」など愚策も目立ち、結局は「自虐CM」以上の仕事を成し得ることはなかった。

効果に大小はあるが、CM以外にも他にも様々な試みをセガは挑戦している。
今回紹介した「ドリームキャスト無料体験キャンペーン」もその一例である。
また、あまり反響は無かったがドリームキャストソフトのレンタルサービスや、「@barai」サービス(※)なども試みた。
(※)@barai:ある一定区間までプレイできるソフトを安価で販売。
  引き続きプレイする場合は、ネットで「解除キー」を購入する後払いシステム。

また前回の記事でも紹介した「シーマン」のプロモーションに関しても、かなり成功を収めているといえよう。

比較的、プロモーション事業は成功している部分があったのだが、問題は本体の生産性だ。
需要が高かったにも関わらず供給で追いつかない事態が、
一番大事な時期であるはずの発売後から約半年近くの間続いたのだ。
これは、消費者に飢餓感を与える戦略でもないし、
『どんなに大量に生産しても供給に追いつかない』といった状況とも少し違う。
ドリームキャストの心臓部といってもよい「Power VR2」チップの開発が遅れたのが原因で、
チップの歩留まりがなかなか向上せず、その結果、十分な量の本体を確保できなかったのだ。
売るべき時に売り損ねるという、「先行逃げ切り」を狙うセガにとって、致命的なミスを犯してしまったのだ。
その初回出荷台数の少なさから、予約キャンペーンも急遽取りやめる事態にも発展。
セガパートナーズ向けの限定モデル「DREAMCAST SPECIAL MODEL」は通常通りに販売されたが、
このキャンペーンも結果的には失敗だろう。放って置いても勝手に購入してくれるようなコアユーザなどは
無視して、一般の店頭販売用に少しでもその本体を回したかったはずだ。
十分な量の本体を出荷できないことに間して、半年後には湯川専務による「謝罪CM」も放送されたが
まったく笑えない状況であった。



【マシン名】
 DREAMCAST トライアルセット (サービス期間1999年9月22日~11月30日)
【価格】
 非売品
【メーカー】
 セガ
【スペックは通常版DREAMCASTと同等】
【入手容易度】(易/やや難/難/かなり難/極めて難)
 ≪極めて難≫
 業務用のDREAMCASTなので入手は困難。
 キャンペーン終了後、ショップのバイトさんがただで貰っていたと言う話を良く聞くので
 中古市場にまったく流通していないわけでもない。
 新品同様レベルのものであれば、それなりの値段が付いている。
 ※PSE法適用商品